満身創痍。

口内炎と打撲。

喋ることすらままならず、歩くことすらままならず。
そういった状態で出発した今回の居酒屋放浪は、東京平和島経由長崎行きであります。

1月2日にバーゲンセールの航空券の予約に成功した我々は、当然長崎で放浪することを即断。つーか、最初から長崎行きを考えていたのだが。
そして計画を練りに練ったわけでもなく、当日までぼーっとして、いや、この頃嵌っている横手市ほていやで焼酎に体を慣らしつつ、静かにその時を待っていたわけだ。

そして時は来た。

秋田発の最終便で羽田に向かい、初めの宿は平和島。マンションを改築したような、不思議な作りのホテルである。つーか、マンションじゃん!!エレベーターを下りると、外に空間の開ける通路。玄関の鍵を開けて部屋に入る。ワンルームマンションである。玄関だから当然段差があり(以下略)。
あまり期待もせずに我々は早速予行練習としての平和島居酒屋放浪に向かう。
果たして我々が眼にしたものは…。
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この店である。
信濃路という。
駅前によくあるそば屋かと思いきやちょいと違う。結論から申すと、昔からリーズナブル値段で酒肴を提供する大変良心的な店なのである。
こういう店に弱い。
とっても安い店は庶民の味方である。

とにかく突撃。
幣もとりあえず手向け山。
とりあえずの生ビール(秋田空港でも大ジョッキを空けてきたのだが)を注文。ずらっと並ぶメニューを見る。メニューがたくさんある居酒屋は頼もしいし、少ししかなくとも、魂がこもるメニューであれば、それはそれで良し。
信濃路のメニューは前者の方である。アジフライ、煮込み豆腐、青菜炒め、肉じゃが、シラスおろしを注文。どれもこれもあっという間に出てくる。旨い!!特にアジフライのカリカリ塩梅は、口の中にとげが突き刺さるかのよう。Kくんとうっとりしながら、ガタガタと落ち着きのないテーブルをならしながら飲む。
ビールおかわり。
あまりにあっという間に出てくるので、中国からの留学生風の女の子がぼやく。
「早すぎてコマルヨー」
店の親父が笑っていると、その子の言うには、
「世の中何でも早すぎてコマルヨー」。
確かにそうでありますな。しかし、頼んだものが早く出てくる居酒屋は良し。
更に日本酒、焼酎、泡盛などに移行する我々なのであったが、それにしても安い。1杯250円なのである。南青山で飲んだらこの4倍はするぜよ。そしてこの後、小アジ味醂干し、厚揚げ豆腐などを頼み、そうしているうちに閉店の時間である。
お会計して驚く。なんと4770円。しこたま飲んで食って東京で2人でこの値段とは、印度人もビツクリ。
平和島、やはり競艇の街である。

この後おとなしく寝るワケのない我々は、ラーメン工房○○なるところでラーメンを食うのだが、別にどうということもなく、それにちょっと動揺してしまった我々は口を洗ってから帰ろうと、その上にあった中途半端なショットバーに行き、なぜかレモンスライス入りのジントニックを飲み、腹が割れそうになって這々の体でマンション改造ホテルに辿り着いたのであった。
それにしても口の中が痛い。特に舌が痛い。喋ることすらおっくうである。早くなおんねえかなあ。というわけで、1日目終了。

さて2日目。爽快に目覚めたワタクシ、爽快にシャワーを浴び、爽快に歯を磨き、爽快に朝飯を抜き、Kくんと共にホテルを出立。風が強い。目にゴミが入る。すわ花粉症かと思いつつも平和島駅に向かう。と…、やっているではないか信濃路!!朝7時には開店するようである。朝からやっている飲み屋は偉大だ。
そうこうしながら飛行機に乗った我々は一路長崎へ。長崎空港は海に囲まれています。前回の訪問では気づかなんだ。台風が来てたからねぇ。どういう言い訳だ。

家族に会うために佐世保に向かうKくんと別れ、ワタクシがどうしたかとゆうと、船に乗ることにしたのである。
風俗のお誘いみたいな船着き場案内の看板が目に入り、どこにどのように着くのかも分からず、とりあえず「時津行き」というのが長崎駅に一番近そうだと見当をつけ、切符を買って乗車。じゃなくて乗船。他にも、壱岐とか、なんとか島とか、そっちの方が魅力であったのだが、その日のうちに帰ってこられなさそうだし、断念。
それにしてもこの船。喫水線が目線に近く、何というか、変な緊張感。しかもこの波飛沫(しぶき)。向こうが見えないではないか。
じゃんじゃか飛沫を立てて船は進む。ヨーソロー。
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ところで私が乗ったこの船、調べてみましたところ、
エアポートライン(安田産業汽船株式会社)
という路線だそうで、片道1220円であります。リムジンバスに比べると、ちと割高なのだが、この飛沫には換えられぬ。また、海上タクシーとも呼ばれているようだが、好きな場所に行ってくれるわけでもなく、それではタクシーとは呼べぬではないか。

そして時津に着いたワタクシ、時津とは日本のどこなのか少なくとも長崎県内、長崎市に近づいているに違いないと見当をつけ(かなり当たり前のことなのだが)、港から出たところにあるバス営業所のおじさまにどうやって長崎駅前に行けばよいのかを訪ねたところ、ちょっと歩いたところの銀行前にあるバス停からバスに乗ればよいとのこと。今回初めて触れる長崎の言葉である。「~でよかですよ」。「よか」という言葉が好きである。よかよか。
小雨が降ってきたがタバコを吸いながらバスを待つ。バスに乗るとあとは一直線。ホントに曲がらないでまっすぐ長崎駅前に辿り着く。あぁ、懐かしかねぇ。思えば1年半前、灼熱の太陽光線を浴びつつ飲み歩き、汗を3㍑くらいかいたなぁと回顧しつつ、ホテルを探す。

なかなか見つからないのを楽しみつつ、路面電車に乗ろうとするも満員のために乗車を断られ、まあ出島くらいまでだったら歩いても何ともなかろうと更にウロウロして、「長崎アイビス」を発見。荷物を預け、さぁ、探索だ。
が、その前に、腹ごしらえ。長崎に来たらチャンポンだ。今回は敢えて新地には行かず、その辺の食堂で摂取してみようと思いきや、目の前に出前中心と思われる食堂を発見。長崎県庁裏手である。
店の名前は、「江戸○○」という。○○の部分はただ単に忘れたのと、プライバシー保護のためであるのだが、全く理解できないこの店名の意味。まあそんなことはどうでもよい。
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チャンポンの味はまさにスタンダード(ある意味今回の旅のキーワード。よく分かんないときも「スタンダード」)。チャンポンには白胡椒がよく似合う。具の中では、かまぼこが一番好き。次は烏賊ですね。

よくヒトに、「アナタは蛸と烏賊とどちらが好きか」というようなことを問いかけるのだが、ワタクシは断然蛸派である。蛸ブツは肴の王様である(日本大げさ協会)。ちなみに、チャンポンの中にも寿司の如く格付けがあり、特上チャンポン(というようなネーミング)の価格は1000円でありました。どんなだろう。

腹ごしらえが済み、思案橋へ向かう。別にまだ飲みはしない。探索がいよいよ始まるのだ。
ホテルからはほぼまっすぐである。時津からもまっすぐだったな。途中、「酒の宿」という、酒飲み放題の旅館なのかと間違いそうな(間違えないか)酒屋さんに入って取材。幻の焼酎「森伊蔵」についてである。
「酒の宿」は薄暗く、信頼が置けそうな酒屋である。暗い店は酒が長持ちする。出てきた若い者では話が分からなそうだったので、奥にいたおばさまに森伊蔵についての質問をぶつける。といっても、置いているのか、ということを聞いただけだが。
彼女の話によると、

・とにかく生産量が少ない
・市内で1軒しか置いていない
・うちのような店で注文しても入ってくることは滅多にない
・何十年も前からの上得意様に差し上げるような貴重品
・中州のクラブでキープすると7、8万はかかる
・「魔王」クラスでも、注文して3、4ヶ月しないと入ってこない
・「魔王」なら3千円台で出しています
・「魔王」は他の店よりもかなり安いと思う

とのことで、何だか最後は「魔王」の話になっていったのだが、とにかく「森伊蔵」への幻想は膨らむばかり。

思案橋突入。

昼過ぎの思案橋は、カラオケの音がそこここのスナックから漏れる、「カラオケ練習場」と化していた。「カラオケ練習場 12:00~17:00 500円」というような看板を立てている店がそこここにあり、どこも一応人は入っているようだ。その中で探索を薦めていくと、「森伊蔵」が飲めそうな店を発見。こぎれいな料理屋の店先に焼酎の一覧が貼ってあり、「森伊蔵」と記してあるではないか。「さくらさくら」である。チェック。

思案橋の真ん中を流れる水路沿いの家の屋根の上に、サギがとまっている。3羽。こんな町中にもサギがいるのだなと思いつつ眺めていると、ケンカのようなことをおっぱじめて驚く。
他の収穫としては、馬肉専門店、鰯専門店などを発見したことぐらいか。あと、遅れてくるA氏が「カラオケに行きたいかも」と述べていたので、一応カラオケボックスの場所も確認。結局行かなかったけど。

思案橋を出て、フレッシュネスバーガーで一服。土曜日だからか、小・中・高校生が非常に多く歩いている。若者の多い街はよきかな。
駅前の方にぶらぶら歩いていくと、なにやら工事しているのを眺めている人たちがいる。何かと思ったら、公園の大木を一生懸命に抜こうとしている。根っこのところにヒトが群がってスコップで掘り返し、トラックのクレーンを木の先に結びつけ、一生懸命引っ張っている。面白そうなので、ベンチに腰掛けて見学。トラックで引っ張った分木は傾いていくのだが、トラックが力を抜くとその分また戻っていく。たわんでいるだけなのだ。何回も繰り返しているがいっこうに抜ける気配もなく、30分ほどで飽きてその場をあとにする。
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駅方面に向かっていたつもりだったのだが、いつの間にか90°向きがそれ、迷いかけていた頃、A氏から長崎に到着したとの報。いい加減寒くなってきていたし、そろそろ戻ろう。
と、駅の真ん前で非常に興味深い店を発見。例の「桃若」が思案橋でないところにもあるのだ。しかも、現役で営業しているらしい。どういうことだ。疑問を胸に秘めつつ、ホテルに戻る。

A氏とは、昨年8月に池袋で焼き鳥食って以来だから、約半年ぶりである。昼、何も摂っていないというので再び思案橋の方に向かい、結局お茶しただけであったのだが、評価基準と評価規準について話し合い、浜町アーケード探索。これは飲み屋ではなく、路上のである。ワタクシとしては今回の軒下はあまり収穫がなかったのだが。

そうこうしているうちに、長崎に辿り着いたとK君から連絡が入り、思案橋近辺にいるからそこで落ち合おうと確認。大体来るであろうという時間に思案橋の入り口の門(?)の前で待つもなかなか来ない。いや、一度来たかと思って、走り寄りそうになったのだが、実はそれは女性で、眼鏡をしていないワタクシの視力は0.6程度だから、近づいてやっと分かる程度で、でもK君に似ていたのだ。
とにかく来ない。多分迷っているのだろうと(大館居酒屋放浪でも迷った)見当をつけていたところ、やはり迷っていた。携帯電話で話し合ったところ、自分がいる場所もよく分からないそうで、彼にとってはなんぼか地元であるわけで、しかしながらどうにもならず、待つしかない。

今回の一軒目は一口餃子だ!!と目をつけていた「宝雲亭」の前で寒さに震えつつK君を待つこと約20分。携帯電話への連絡と共に、K君がにこやかに現れる。さぁ、やっと居酒屋放浪の始まりであります。
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思案橋の入り口には写真のような「門」があるわけだが、入り口付近、かなりこざっぱりとしてしまい、餃子屋さんも移転したらしくちょいと物足りないのであるが、「思案橋」の字のネオンが紫色で何だかいいでしょう?やる気を喚起させられるであります。以上、「門」についてのコメント終わり。

さて、宝雲亭に突撃した我ら、まず、ワタクシはトイレ。鍵を借りて(!)裏手にあるとても妖しいトイレで用を足し、待っていてくれた二人に感謝しつつ、生中、餃子、ニラとじを注文。
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来た来た来た~。ビールと共にどんどん口に放り込む。一口サイズのその餃子(350円)は、小さいので噛みちぎる必要もなく、なかなかにジューシーで、どんどん食べられる楽しさもあり、あという間になくなり追加。追加分も貪るように食べてしまう我々。
ニラとじは、ニラの卵とじなのだが、フライパンで20秒くらいで出来ちゃいそうなシロモン、ウスターソースをかけていただく。作り方がシンプルな食べ物は、素材の味が感じられて旨いのだ。
刺身なんかは特にそうですね。当たりはずれがあるから刺身って食べてみねいとわからんのですが、見た目で結構わかるときもありますが、とにかく刺身は好きであります。ただ切るだけの調理といっても、刺身に関しては「この魚を刺身にして良いものかどうか」ということを考えるところから調理は始まっているわけで、良い素材探しがおいしい刺身を食べるための大前提であるといえまする。

あぁ思い出した。みなさん、自分で烏賊の塩辛を作るときは、スルメイカ以外を使ってはなりませぬ。先日、新しそうな小さこいヤリイカを購入し、塩辛にしてくれようと内臓を引き出したところ、内臓がないぞう。
…つーか、肝の性質がスルメイカのそれとは違うんですねえ。透明感のあるライトイエローのちびちびっとした肝があるだけで、それをザルでこしてみたものの、スプーン一杯程度の肝液しか入手できず、それで身を和えてみても特にどうにもならず、結局はゆずの皮を刻んで投入し、「烏賊のゆず和え」となってしまったヤリイカ。至極残念。しかもヒトんち持っていって、冷蔵庫に入れたまま忘れて帰ってしまったし。トホホ。

宝雲亭を出た我々は、前出の「さくらさくら」に向かう。入り口があまりに普通すぎるので少しばかり躊躇してしまうのだが、森伊蔵の字のある張り紙には勝てず。フラフラと突撃。迫力ないなあ。
店内はカウンター7席。細長い、畳を縦に2枚並べたくらいの小上がり(お座敷)テーブル2つ4人分。おじさまが2名おり、カウンターでも小上がりでも良かったのだが、何となく小上がりに上がることになったが、あまりにも細長い小上がりで、二人が横に並んで座ることもできぬ。店主(ママさん)の試行錯誤の末、図のように着席する。何だか不思議。ワタクシはどこを見て喋ればよいのか分からぬ。
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ビールはさっき飲んだから最初から焼酎で行くぞー!!という意気込みはあるのだが、最初から森伊蔵を頼む気にはなれない。他のなら何ともないのだが、いざ目の前にしてしまうと、どうも。
なので、三人三様に好きに頼む。もちろん森伊蔵を除いて。そうしているうちにメニューにある言葉に気がつく。「焼酎はカラカラか黒ぢょかでも召し上がれます(というようなこと)」。
黒ぢょかがあるのね!!横手市ほていやで練習していたから黒ぢょかのことは知ってるぞ!!さっそく黒ぢょかでの酒燗を要請。飲んでみる。

ツィー。

ぬるい。つーか、これが本来の飲み方であるとのこと。焼酎の香りを楽しむには、人肌が一番なのだ。確かに熱くしすぎると、日本酒とは違った性質らしい香り成分がアルコール分と共に蒸発してしまうわけだ。それは困る。ぬるくていいのだ。

肴としては、鰯とキビナ(ゴ)の刺身を要請。キビナの並べ方がちょいと甘い感じなのだが、口にしてみるやはり旨い。盛りつけはそう大切ではないと感じるときもある。鰯も旨い。焼酎が進む。

さて森伊蔵である。やはり黒ぢょかで頼む。いや、頼んだような気がする。多分5:5で割ってあるから、それなりのアルコール濃度なのだが、舌の感覚が濃い口になっていたのか、どうも薄く感じる。よく言えば上品。
えっ、こんななの?
と拍子抜けしつつ、しっかり味わうために、次はストレートで要請。じっくり味わってみる。

ツィー。

この酒の味を表現する言葉をワタクシは持たない。ちゃんと味わえたのか、ということすら不安を覚える。もっと勉強しないと、という気持ちにはなった。アルコール分さえ入っていればいいぞーという飲み会もあれば、その酒を造ったヒトのことを思い浮かべつつ芸術作品としての酒を味わう飲み会もあるべきだ。

とにかくそう沢山飲む酒ではないと感じ、次は何にしたらいいものやら、と後ろを振り返りキョロキョロしていると、先程からいたおじさまのスーツ姿の方が話しかけてくる。どこから来たのかということ、どうして来たのかということ、思案橋について、酒について、などの話が盛り上がってきたところで、ボトルキープしている酒を飲みなさいと言う。結構メジャーな「シロ(白岳)」である。
割り方について、何となく希望を述べてみたところ、
「いいから言う通りにしなさい」
とたしなめられ、おとなしく従う。こういうところがダメなんだな。おとなしくしてりゃあいいのに、つい余計なことを言ってしまう。あまりに調子がいいのも考えものだ自分。
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スーツおじさまは名を、マチダさんという。名刺をいただいたところ、漬け物会社の社長。マチダさんは次のようにしてシロを飲ませてくれた。

①小さなグラスに7分目にお湯を投入
②レモンスライスを投入
③静かにシロを投入

お湯の上にシロを浮かばせるようにして注ぐので、「フロート」というのだそうだ、その飲み方。最初はアルコール濃度が高いのだが、飲み進むに従って薄くなっていくので、体によいのだそうだ。しかし何杯も飲んでいたら、濃くなったり薄くなったりですな。
いずれにしろ、スマートな飲み方であることに間違いはなく、女性にもお勧めであります。そもそも悪酔いしないといわれる焼酎であるが、フロートすればもっと翌朝がスッキリ。

そうしているうちに、話はやはりお仕事である長崎の漬け物のことに及び、店にもあるというので出してもらう。
これがウマカッタ…。
細かく刻んだ野菜の漬け物が抜群に旨い。
呼び名は忘れた。
あとから出てきたのは確か「しぼり漬け」といったな。
肴にするだけではもったいないと、A氏がごはんを所望。K君とワタクシも負けじと所望。
抜群にごはんに合う。勢いに乗ったA氏はごはんをお代わり。なんと、2,3年ぶりにごはんをお代わりするという。世の中で、そんなのもブランクを印象的に感じる事象もあるのだな、と変に関心。とにかくそれほど旨かったマチダ商店の漬け物。

あまりに我々が騒いだせいか、マチダさんの連れの方(名前は忘れた)、彼は内装屋さんであったが、いつのまにか姿を消し、戻ってくるとビニール袋を持っている。
「イヤー、やっと見つかったと思ったら閉店ぎりぎりで…(というようなこと)」
と言いながら、何と我々にお土産として持たせてくれるために、わざわざマチダ商店の「しぼり漬け」を買ってきてくれたのだ!!!!!
素直に感動した我々は素直に受け取り、しかしながらその後のマチダさんによるスナックへのお誘いをやんわりとかわし(桃若に行かなければいけんから)、100回ぐらいお礼を言って「さくらさくら」を後にしたのであった。
こういう出会いがあるから居酒屋放浪はやめられぬ。といっても、ヒトにお世話になってばかりなのだが。

さて本日のメインイベント。
「桃若」に突撃である。
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席は空いているかな、店の人たちは我々を覚えててくれるかな、豆腐はあるかな、などといろいろと心配しつつ店に入る。結局のところ、すべてをクリア。ただ、豆腐があと一つしかなくて、しょうがなく、つーか年長者としての威厳を見せつけるために、K君に譲る。ちょっともらったけど。

店の方たちは相変わらず元気で、親父さんの舌の滑りも非常に塩梅がいい。
息子さんは落ち着きを見せ始め、その割りに一昨年のことをよく覚えていて、「コッコデショ」に出たい話とか、我々の時代背景の話とか、いろいろ振り返ってくださいました。

再び「コッコデショ」の話になり、身長制限があるからワタクシはダメですね、というような発言をしたところ、親父さんが
「そんなの関係ないよ住んでいれば何となく出られるって」
というようなことをおっしゃり、樺島町に移住しようという意欲を新たにしたのだが、でもやっぱり南の島にも移住したいわけで、頑張ってお金を貯めよう。

さて、やはり桃若のおでんは豆腐が旨い。ゆず胡椒をつけて食べると抜群である。はんぺんはない。中途半端な擂りものは西日本に存在しないのだ、ということを初めての来店時に言い聞かせられた。まぁ、その時に「はんぺんください」と言ったのが店のみなさんとの交流のきっかけとなったのではあるが。

もうこの辺になってくると、酒はアルコール分が入っていればよい。
剣菱を熱燗でガンガンいく。
剣菱には何だかこだわりがあるらしい。
親父さんが三菱に勤めていたかもしんないからかねぇ。

桃若のカウンターはL字型になっているので、お客さん同士の顔が見えやすい。とどのつまり、お客さん同士の交流も深めやすい。
いつものように「秋田から来ました」発言から周囲のお客さんたちに話しかけられまくり、親父さんに「あんたは秋田弁で喋りなさい」と言われ、酔った勢いでしこたま喋っていたつもりなのだが、そんなワタクシを見て親父さんが「何だか嘘くさい秋田弁だ」とおっしゃる。そんなに不自然ですかねぇ。それともまだ「標準語を喋らなければいけない」という気負いがあったからなのでしょうか。次は頑張らねばね。
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桃若での締めくくりはこれ。おじやである。天下の逸品である。
おでんのだし汁でごはんを煮ているからおいしくないわけがない。いろんな味がするよ。それがおでんのよいところだ。
ぐつぐつと煮える土鍋を目の前に持ってきてから器によそってくれる。熱々である。だいたい舌を火傷する(これで3回目だけど)。本当に旨い。抜群に旨い。思い出すと、先ほどいただいた昼飯のカレー(上司のお土産のレトルト)で、相当腹は一杯なはずなのに唾液が出てくる。一口餃子のみならず、このおじやを食べるという目的だけでも思案橋を訪れる価値はある。あるのだ。

そうこうしているうちに、なんと0:30近く。奥さんから「そろそろおしまい」という指示が下り、もっと喋りたかったのだが、おでん屋なのでそんなに遅くまで開くわけにもいかず(多分)、名残を惜しみながら、桃若を後にしたのであった。

ところで今回ここまでのお会計がどの店も5000円以内。3名でですよ!!特に「さくらさくら」ではあんなに森伊蔵も飲んだのに。つまみが少なかったからですかね。とにかく、ここまでは万事オッケー。あとは、「ハードボイルドバー レディジェーン」を残すばかり。
しかしガーン。
またやってない。
3度目の正直というが、3度目も入ることができなかった。つーかやっていないんじゃしゃあない。いつになったらハードボイルドなマスターに会えることやら。トホホ。

しょうがないので他の店を探す。当然バー。

しかし。

この後のことを語る勇気も権利もワタクシにはない。すべてワタクシのせいなのである。剣菱でヘロヘロになったワタクシは…。

ちょっとだけ語ります。

へんてこな店に入り、普通のバーと思いきやカラオケもできるバーで、言い訳は何もできないのだが、とにかく3人で不思議な時間を送ったのでありました。それぞれの感想。

K君  「あんなにまずいジントニック初めて飲みました」
A氏  「リンゴがおいしかった」
ワタクシ「卵のケースが…」

A氏が頼んだ「チャーリーチャップリン」はそこのおじさん(バーテンとは敢えて呼ばない)が作り方を知らず、後ろを向いてレシピ本を見ていたが出来上がったシロモノはやはりとんでもないものであったようで、しかしながらおじさんは「スタンダードです」と言いながら出してきやがった。おっと、口調が下品になってしまいました。見た通りをスタンダードと言うんかい。ある意味おもしろい経験ができました。

1杯ずつしか頼まない割に法外な値段を請求され、でもそんなに抜群に法外ではなかったのでK君と何となく支払い店を後にする。
もう2時近くなっていたでしょうか。おとなしく帰って後は寝ました。今宵はラーメンもカツ丼もなし。よかよか。

翌朝の散策もなかなか楽しかったのでここに記す。
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朝飯を摂るために階下に降りたワタクシを待っていたのは出かける気満々のA氏。あわてて身支度を調え、当然ルービックキューブデジカメも携えて外に飛び出す。
日なたはあたたかいが日陰は寒い。当たり前か。
駅前に行けば朝飯を食えるところがあるだろうとそちら方面に進むと、左のような場所を発見。水路が樺島町(大好き)と五島町を分け隔てているのですね。いや別に隔ててはおらぬが。

今回宿泊した長崎アイビスを選択した理由は、安いからだけでなく樺島町にあるからというのもあった。一晩過ごしたから、樺島町住人レベル1くらいにはなったのでなかろうか。レベル100でコッコデショに参加。

日曜日だったせいかどこも開いておらず、しょうがなく再び浜町アーケードに向かう。

の前に、次のものを発見。
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軒上(屋根の上ともいう)にコンクリートのブロックが置かれているのだが、なぜかこのブロック、穴が空いているべき場所にもコンクリートが詰められている。
どう考えても変だ、とA氏は述べるのだが、ワタクシとしてはどう考えても重量を増すべくそうしているのであって、別に変とは思わないのだが。あまりに拘るので(確か)撮影。
ちなみにこの画像は歩道橋の上から撮影したのだが、上からじゃねぃと「軒上探検」はできませぬ。かなーり限定されるな。そういう意味では貴重な物件。

再び道に迷いそうになるも(また角度を90°間違えていた)何とか復帰し、浜町アーケードへ再び。再びといえば、筒井康隆の「七瀬再び」という小説があったようなないような。小中学生時、筒井康隆ばかり読んでいて、ホニャララなシーンに胸をときめかせていたのを覚えているなあ、ワタクシ。

浜町には幸いなことに朝から開いているドトールコーヒーみたいなところがあり、ソファー席に体を埋めつつ、チョコクロワッサンとビックリたまごなるパンと、紅茶をいただく。トイレに立ち、戻ってしばらくしてからチャックが開いていたのに気付き、そうA氏に申告すると、「言わなきゃいいのに…」と呆れられ、しかしながら別に後悔もせず。つーか、自分でも言う必要はないとは思う。
一人用のソファーはよいな。欲しいな革張りの。いつの日か、どこかに落ちていることを期待しましょう。

のんびりしているうちにホテルのチェックアウト時間が迫り、慌てて戻る。風呂に入っていなかったから。

その後お互いに別れを告げ、まずA氏が帰途につく。K君とワタクシはそれぞれの買い物を済ませ、K君はお土産のせいで異常な重量になったバックにヒィヒィ言いながら(日本大げさ協会)リムジンバスに乗り、長崎空港に向かう。

長崎空港で最後の食事を摂る。ホントはカレーがよかったのだが一般的なレストランはお客で一杯なため入れず、チャンポンの店に入る。またチャンポンを食べる。再度メニューとして挑戦したゴマだれで食べる餃子は、ゴマだれも餃子もそれぞれ良いお味なのだが一緒にいる必要性が感じられず、何だかよくワカラン食べ物。

トランジットの東京で、用足しのため一度空港を出る。あるブツを届けただけなのだが、さまざまな想いが錯綜。これでよかったのだ。そして、品川駅で立ち食いそばを食べ後悔。麺が旨くない。ビックリなことに空港に戻ってからまだ想いを断ち切れないカレーを摂取。最後の最後に大混乱の食欲。ま、こんなもんだ自分なんて。

そんなわけで長崎を後にした我々は、その後一気に現実に引き戻され今日(「こんにち」と読んでね)に至る。K君は驚くべき仕事(実態はまだよく教えてもらっていない)が決まり、ワタクシはFFに振り回される、どうということのない日常であるが、金はかかっても国内でしか味わえない旅がある。もっとニホンを知るべきだと何となく思った今回の旅。

次回予告!!
会津若松居酒屋放浪 今度は日本酒で勝負してみっぺ~

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