雨である。我らが居酒屋放浪同好会始まって以来の雨の中の放浪である。傘が必要である。小生は傘を持参したのだが、皆、サンクスでビニール傘を買ったのだ。ビニール傘は、向こうが見えて安全である。

 源氏である。今回の放浪に先駆けて、KくんとK嬢はすでに、源氏を探検していたのだ。源氏は、曲がって曲がって曲がって行ったところにあると。そう伝え聞いてはいた。いったいどんなところだ。幻想は深まるというか、膨らむばかり。イクゾ仙台!!

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 この度ニューモデルが颯爽と登場した日産マーチ。K嬢はシルバーマーチを購入した。冗談半分(実はほとんど本気)で、「新車買ったことだし、今回は君のマーチで行こう」とK嬢に提案したところ、快諾を得て、マーチで出発。お昼、微妙な時間帯の出発である。途中のサービスエリアでちょっと食事する。K嬢はかき揚げ丼(豚汁付き)、Yちゃんと小生は天ぷら蕎麦だ。Kくんはいつも食べることのない朝食を、カレー2杯食ったもんだから食欲がなく、ただ座っている。小生、早速家へのおみやげを購入。盛岡冷麺とジャージャー麺の、インスタントである。買ってからKくんから知らされる。「そんなのふじや(魚が新鮮で人気の食料品店)でも売ってますよ」 ガビーン。あとで見たら、うちの近所のコンビニでも売っているではないか。なおさらショック。

 仙台に着いて、明るいうちにすることはただ一つ。探検だ。女子諸君は買い物だ。特に衣料品。早速出発。アーケードで待ち合わせについて取り決めを交わし、二手に分かれる。

 仙台国分町の三越向かいの三本路地は、町中にあるのに場末の雰囲気。古い古い飲み屋が軒を連ねている。行ったり来たりしているうちに、気分がハイになってくる。
 「バラ焼き○○ちゃん」、「コップ酒千代」…、入りたい店がありすぎる。しかしながらまだ午後4時。どこも開いておらず、野菜を配達するおじさんがバイクでたまに通るだけ。しょうがない。でも、飲みたい。
「Kくん、どっかで一杯引っかけよう」
「そうですねえ」
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 というわけで入ったのが、「太助」。牛タンであまりにも名高い(いろいろな意味で)店である。
 店の中は空いている、と思いきや、どんどん人が入ってきて、4時台なのに満席、外で待つお客様も。ほんで、生ビール頼んで、「牛タン二つ!」と頼むと、「もう焼いてます!」とのこと。席に着くと自動的にタンが焼かれ始めるらしいのだ。目の前の厳めしい親父さんは店の中に目を光らせつつ、テールスープ注ぎに余念がない。店の広さの割に店員が多い。牛タンは硬いのと柔らかいのがある。柔らかいのに当たると幸せ~。
 小30分ほどいて、店を出る。待ち合わせ時間だ。

 合流していよいよ一心へ向かう。若女将が、仙台なのに美人だという店だ(太田和彦の居酒屋放浪記で見た)。
 ドキドキしながら地下に降りていくと、そこは一心である。戸(ドアではない)が二つあって、右側は予約用だそうで、左に入る。座敷に上がる。さらにドキドキ。いきなり若女将の渡辺さんが迎えてくれたのだ。
 早速酒である。Kくんと二人で日本酒を頼む。K嬢になぜビールじゃないのかと不審がられる。そう、太助に行ったことは内緒にしていたのだ。
 小生は、憧れの「神亀」。
 ツィー。
 なんと。苦味があるではないか。渋すぎるその味は、「ちょっと冷たい女の子」といった感じで、いや、酒が冷たいのではないのだが、肩透かしを食った感じだ。
 「突き出しはいかがしますか?」
 突き出しを楽しみに来たのだ。もちろんお願いする。
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 すると、朱塗りの器に刺身の盛り合わせが出てくる。ホタテの横に、ヒモがいる。じゃなくて、ある。日本酒にピッタリである。自分のだけじゃなくて、Kくんからもらう。ホタテ自身ももらう。Kくんは貝が苦手なのであった。初めて知った。
 宮城の日本酒で頼んだのは、綿屋、夢幻、日置桜。立て続けにKくんが飲む。小生は神亀一本でいく。

 K嬢が渡辺さんに話しかける(偉いゾ!!)。
 「この、美稲って、うちの斜め前に酒造元があるんですよ~。うちのじいちゃんも杜氏だったんです」
 すると渡辺さん、
 「そうなんですか~、そういう方が来てくれると、とっても嬉しいです」
とおっしゃる。小生も嬉しいぞ。

 他に頼んだおつまみはタコのウニ唐揚げ(旨い!!)、初カツオ刺身、豆腐、アナゴ竜田揚げ(今回一番旨かった!!)、明太子入り卵焼き、だ。アナゴ竜田揚げに関しては、もう、あれです。言葉になりません。こういう風にして食べられるのね、っつーか、初めての味で、こっくりとしていて、日本酒が進むこと、この上なし。
 でもダメダメ。ここで満足して終わりになっちゃいそうになってしまっていた我々は、後ろ髪を引かれる思いで、一心をあとにする。
 心残りその一は、女将さんの渡辺さんと記念撮影出来なかったこと。なんだか、バカみたいに緊張してたな。それにしても外に出てビックリ。まだ明るいではないか。それもそうだ。開店と同時に店に入ったもんなあ。

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 次に向かうは、かつて小生が出張の時(もちろん仕事が終わってから)に見つけて飛び込んだ、何系飲み屋かうまく分類出来ないのだが、「森」。三越裏にありますまだ周りは明るい。
 突き出しに出てきたのはなんとビックリ、カレーだ。思わず、御飯を所望してしまう。旨い旨い。腹が落ち着いたところで、カウンターの隅にずらりと並んだ焼酎をもらうとするか。
  早速、「魔王」を頼む。近所の酒屋さんで、6,〇〇〇円ぐらいするから、なかなか手が出ないのだ。 旨い。芋焼酎の匂いはこうじゃなくっちゃ。
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 そうしているうちに、お祭りの半被やらを来た男性が4名バタバタと入ってきて2階に上がっていく。その時の店員、Aくん(漢字一文字)が持っていったのはなにやら濁ったものの入った一升瓶だ。問いただして(別に問いただすこともないが)みるとそれは濁り酒だそうで、そろそろ調子に乗ってきた小生はそれを2杯飲み干す。七輪で焼く塩ホルモンや薩摩揚げ、にんにくの胡麻油揚げに、みな、酒が進む…。


 と、時計を見る。なんと、まだ20時台。イカンイカン、もう終わってしまいそうになった。今回の目的はもう一つあったではないか。源氏だ源氏。源氏に行くのだ。
 小生を覚えてくれてたAくん(漢字一文字)に別れを告げ、森を出る。また来るからね~。こぢんまりとしていて、居心地のいい店だ。一人で来ても充分楽しめる。仙台に来るたびに寄りたい店だ。

 さて、源氏である。雨は上がった。文化横町に向かうぞ。つーか、Kくんのあとをついていく。

 我々は何回曲がったことであろう。それほど曲がって源氏にたどり着いたのだ。源氏には曲がらぬとたどり着けぬ。
「こんばんは~」
 ガーン。普通のおばさんがいる。着物を着た女将さんがいないではないか。ショックを隠しつつカウンターの角に落ち着く。頼むつまみは決まっている、「青ばた豆」だ。青ばた豆で熱燗を飲むのだ。向かい側に燗付け器がドーンとましましている。化学プラントのミニチュアのようだ。パイプが入り組んでいる。細いパイプを通る間に急速に熱せられるのだろうな。
 この店の素敵なところは、お銚子または熱燗を一本頼むたびに、そのつど突き出しが出てくるというところだ。最初は漬け物。続いて青菜の辛子和え。ほんで、シメサバだ!!1軒目からこの店に来れば、今回とは違う楽しみ方があるかもしれんと思いつつ隣のおじさま3人組の方を見ると、なんと3人とも濁り酒を飲んでいるではないか! さっそくインタビューだ。
 「それ、なんですか(分かっているくせに)」
 「カルピスだよ、カルピス!!」
 「○○牧場(聞き取れなかった)のカルピスだよ、旨いよ、飲んでみなー!」
圧倒され、しかしながらあとが続かず、おじさま3人組は自分達の世界へ戻っていったのだった。しょうがない。
 変に勢いづいている我々は、濁り酒をさっそく注文。どうしてこうも飲みやすいのだろうか濁り酒って。飲み過ぎて腰が立たなくなる人を何人も見たことがあるよ小生は。
 ついでになまこ酢と煮魚を注文。煮魚はでかかったー。一人でほとんど食べる。ラーメンなんぞ食わずとも、かなり腹一杯になる。そして、なまこのことを我は見直した!なまこって意外に旨いじゃん。いや、味は三杯酢の味しかしないのだが、そのグロテスクな外見とくにゅくにゅした食感は得もいわれず。酒が進む。もう、なんだか酩酊してきたのだ。「日本酒延々攻撃(誰に攻撃しているんだ)」は、効く~。
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 そんなこんなで源氏をあとにし、時刻は10時過ぎぐらいか。まだ早い。しかし、小生は、この後のことをここに記す勇気を持たない。ゴメンしてください。しかし一つはっきりしているのは、仙台居酒屋放浪は終わっていないということだ。また来るのだ。

 翌日…、ヨドバシカメラでVAIOのWシリーズを見学。かなり欲しくなるが、スペック的にかなり劣るので(外見ばかしということ)、やめようと思う。そして、牛タンの「利休(東口にある繁盛店)」に行き、例の如く腹が割れそうになるまで食う。牛タンだけではなくて、牛タンハヤシや、牛タンシチューまでも。どんぶり御飯をお代わりした。なんたる食欲。つーか、食欲中枢が破壊されているかのよう。

 そんなわけで、仙台居酒屋放浪その1はおしまい。
 次回予告!! 居酒屋放浪記 会津若松篇 酒造めぐりに思いを馳せ…。
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